収集・運搬の現状や方式は以下のとおりです。

廃棄物の収集・運搬の現状

(特別管理)産業廃棄物の収集・運搬は車両(トラック)による収集・運搬を主体に、船舶運搬方式や鉄道運搬方式が用いられています。なお、鉄道や船舶による運搬方式では、これらが単独で用いられるよりも、区間を区切って車両と併用されることが多いです。

近年、地球温暖化対策として、より環境負荷の低い運搬手段への転換が物流分野でも強く求められるようになってきました。廃棄物分野においてもトラックによる輸送を貨物列車や貨物船による輸送で代替し、環境負荷を軽減する考えが広まりつつあります。

 

各種の収集・運搬方式

車両収集・運搬方式は(特別管理)産業廃棄物の収集・運搬に最も多く使用され、多様な種類の廃棄物に対応可能な多くの収集・運搬車両が開発されています。最近は、車両総重量が２０ｔを超える車両やトレーラー式ダンプ車のような積載量の多い車両も使用されるようになってきています。

船舶運搬方式は、臨海地域の運搬や大量の産業廃棄物の遠距離運搬等に利用されており、処理単価が低い建設系廃棄物のような廃棄物の大量運搬に適しています。

廃棄物の運搬には、ガット船やバージ船が多く使用されています。ガット船は船自身にクレーンを装備しているため自力で廃棄物の積卸が行え、自力運航が可能です。バージ船は、船自身に動力や推進機構を持たず、積載機能のみの箱船で、航行は押し船や引き船を用いて行います。

平成１４年には、総合静脈物流拠点港(リサイクルポート)の指定が始まり、港湾を核とした全国規模でのリサイクル体制の構築が進められています。これは、既存の物流基盤や技術の集積等を活用して「港湾を核とした静脈物流システムの構築」を目指し広域的なリサイクル拠点となる港湾で、平成２３年１月までに計２２港が指定されています。

鉄道運搬方式による廃棄物の運搬は、貨物鉄道会社がコンテナ取扱駅において収集・運搬業の許可を取得して業務を行っており、運搬は鉄道コンテナを利用して行われます。廃棄物は、コンテナ取扱駅間の鉄道による運搬と、排出事業者とコンテナ取扱駅間及びコンテナ取扱駅間と処理・処分施設間の車両組合せによって運搬されます。

前者の鉄道によるコンテナ運搬は貨物鉄道会社が、後者の車両運搬は鉄道利用運送事業者が収集・運搬の許可を取得して行っています。このような鉄道コンテナ運搬の場合、複数の収集・運搬業者との区間委託契約が行われます。また、鉄道運搬は、運搬中に開扉や積替えを行わないよう鉄道コンテナを封印し、排出業者から処理・処分施設までコンテナの一貫した運搬が行われます。

この他の運搬方式として真空吸引方式、空気圧送方式、スラリ輸送方式、液体圧送方式等のパイプライン収集・運搬方式があります。この運搬法式は、設備費、ランニングコストちも高く、柔軟性にとぼしい為、産業廃棄物の分野での使用例はほとんどみられない。なお、パイプライン方式による特別管理産業廃棄物の運搬は、消防法で規定する危険物移送取扱所を除き、禁止されています。