元請負人の義務
下請負人の意見聴取
元請負人には、請け負った工事を施工するのに必要な工程細目、作業方法などを定める際には、あらかじめ下請負人の意見を聞く義務があります。
中間払・完成払
元請負人には、工事の竣工払いや出来高払いを受けた時は、その支払いに対する下請代金を1月以内で、かつ、可能な限り短い期間に支払う義務があります。
前払金
元請負人には、前払金を受けた際には、下請負人に対して労働者募集や資材の購入、その他工事着手に必要な費用を前払金として支払うような配慮が必要です。
※1 検査・引き渡し
元請負人には、下請負人から工事完成の通知を受けた際に、20日以内に検査を実施し、その検査完了後、下請負人が申し出た際には工事目的物を直ちに引き渡しを受ける義務があります。
下請代金の支払期限
特定建設業者が注文者である場合の下請代金の支払期日は、前記※1の下請負人の工事目的引き渡しの申し出の日を起算日として50日以内かつ可能な限り短い期間で定める必要があります。例外として、下請負人が特定建設業者または資本金が4000万円以上の建設業者である際は除外されます。また、下請代金の支払期日が定められなかった際は、引き渡しの申し出があった日を起算日として50日を経過する日が下請代金の支払期日であるとみなされます。
下請代金の支払い方法
特定建設業者には、下請代金の支払いにあたり下請代金の支払期日までに一般の金融機関で割引を受けることが難しいと認められる手形を交付してはならない義務があります。
支払いにかかる遅延利息
特定建設業者には、下請代金を期日までに支払わなかった際には下請負人の工事目的物の引き渡し申し出日を起算日として50日を経過した日から下請代金の支払いをする日までの期間についてその日数に応じた未払い金額に対して一定の遅延利息を支払う義務があります。
下請負人に対する指導
発注者から直接に工事請負をした特定建設業者には、その工事の下請負人が工事施工について、建設業法、労働者派遣法、建築基準法、労働安全衛生法、宅地造成等規制法、職業安定法、労働基準法の規定に違反しないように下請負人を指導し、違反が認められる下請負人にはそのことを指摘し、是正を求めるとともに、下請負人が是正を怠る場合にはその下請負人の建設業許可をした国土交通大臣もしくは都道府県知事または営業としてその建設工事が行われる区域を管轄する都道府県知事に、建設業許可を受けていない場合には、その建設工事を管轄する都道府県知事に通報する義務があります。
その他
許可を受けた建設業者が建設業法の諸規定及びその業務に関して他の法令違反をしたときは、建設業法を基礎として指示、営業停止、許可取り消しなどの処分がなされることがありますので、留意が必要です。