産業廃棄物石綿(アスベスト)の規制
石綿は発がん性を有することから、石綿を含む製品の製造等は全面的に禁止しになっています。このことから、今後は現在使われている製品等の解体、除去、産業廃棄物として処理する場合が課題となります。廃棄物処理法では、石綿を含む製品等を解体、除去後に産業廃棄物として処理(保管、収集・運搬、中間処理、最終処分)する場合の処理基準が規定されています。その処理基準は、石綿を含む産業廃棄物を「特別管理産業廃棄物である廃石綿等」と「普通の産業廃棄物である石綿含有産業廃棄物」に分けています。これらの処理に当たっては、廃棄物処理法のほかに、「石綿含有廃棄物処理マニュアル(第2版)(平成23年3月)」(以下、「マニュアル」という)にも準拠する必要があります。
廃石綿等とは、「飛散するおそれのあるもの」として、施行規則第1条の2第7項第1号~第7号で規定されており、例えば、第1号では、「建築物その他工作物(建築物等)に用いられる材料であって石綿を吹き付けられたものから石綿建材除去事業により除去された当該石綿と規定しています。廃石綿等は、人の健康又は生活環境の保全に大きな影響を与えるものであることから、特別管理産業廃棄物に指定されています。石綿含有産業廃棄物は、「工作物の新築、改善又は辞除去に伴って生じた産業廃棄物であって、石綿をその重量の0,1%を超えて含有するもの(廃石綿等を除く)」と定義しています。
石綿障害予防規則(以下、「石綿則」という)
石綿に関する規制措置は他の化学物質とは内容が大幅に異なることから、その充実を図るため特化則から分離し、平成17年2月、新たに石綿則を制定したものです。平成16年10月から石綿を含有する建材、摩擦材、接着剤の製造等が禁止されました。今後は、石綿含有建築物の解体作業が本格化することから、石綿による労働者の肺がん、中皮腫その他の健康障害の発生が憂慮されています。そこで、石綿則では既に使用されている石綿を除去する作業等を対象とした対策を充実・強化しました。石綿則には、
①解体に当たっての事前調査及び調査結果の記録
②石綿等が使用されている建築物等の解体等の作業計画の作成及び届出
③解体等の作業に従事する労働者に対する特別教育の実施、石綿作業主任者の選任
④作業者が石綿等の切断等の作業をするときの呼吸用保護具(防じんマスク)、作業衣等の着用
⑤石綿等の作業を行う時の湿潤化
等が制定されています。
廃棄物処理法及び石綿含有廃遺物等処理マニュアル
①廃棄物処理法
法では、特別管理産業廃棄物である石綿等と通常の産業廃棄物である石綿含有廃棄物の処理が適正に行われるように、処理の委託から収集・運搬、保管、中間処理、最終処分の基準を規定しています。廃石綿等の収集・運搬に当たっては他の廃棄物と分別することや保管に当たっては梱包するなど、通常の産業廃棄物より厳し基準が規定されています。その処分に当たっては、あらかじめ固形化・薬剤による安定化等の措置を講じた後、耐水性の材料で2重に梱包することで許可を受けた管理型最終処分場に、中間処理として溶融処理又は無害化処理を行なえば安定型又は管理型最終処分場に独立処分することができる(遮断型最終処分場での埋立も可能ですがコスト面から行われません)としています。
石綿含有産業廃棄物についても、通常の産業廃棄物より厳しい処理基準が規定されており、保管に当たっては覆いや梱包等の飛散防止措置をとること、収集・運搬に当たっては他の産業廃遺物と混合しないことなどが規定されています。また、処分に当たっては、埋立方法として一定の場所において分散しないようなどして、許可を受けた安定型又は管理型最終処分場に埋め立て処分を行うことができます。なお、従前行われていました破砕処理等については原則禁止になっています。
②石綿含有廃棄物等処理マニュアル
マニュアルは法に基づいて廃石綿及び石綿含有廃棄物の分別、保管、収集・運搬、処分等を適正に行うために必要な具体的事項を解説したものです。