特別管理産業廃棄物の処理基準
法では、特別管理産業廃棄物の運搬又は処分を行う場合の基準を、産業廃棄物の処理基準とは別に定めています。これは、特別管理産業廃棄物が人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有していることから、これらの被害を防ぐため、運搬車への積込み、保管、処理施設への投入を含め、その取扱いには特に注意する必要があるためです。特別管理産業廃棄物については、この基準に従い運搬又は処分を行わなければならないものであるが、施行令第6条の5第2号に規定する環境大臣の定める方法に従って中間処理され、特別管理産業廃棄物ではなくなった廃棄物については、通常の産業廃棄物として運搬又は処分することができます。なお、特別管理産業廃棄物の収集・運搬基準及び処分基準は、産業廃棄物の処理基準より厳しい基準が規定されていますが、主に通常の産業廃棄物と異なる点は以下のとおりです。
特別管理産業廃棄物の収集・運搬基準
①特別管理産業廃棄物がその他の物と混合するおそれのなおように、他の物と区別して収集し、又は運搬しなければならない。ただし、感染性一般廃棄物と感染性産業廃棄物とが混合している場合であって、当該感染性産業廃棄物以外の物が混入するおそれのない場合は、区分しないで収集・運搬することができること。
②運搬用パイプラインは用いてはならないが、消防法第2条第7項に規定する危険物である特別管理産業廃棄物を、「危険物の規制に関する政令」第3条第3号に規定する移送取扱所において収集・運搬する場合はこの限りではないこと。
③感染性産業廃棄物の収集又は運搬を行う場合には、必ず運搬容器に収納して収集・運搬すること。また、当該廃棄物を収納する運搬容器は、密閉できて収納しやすく、損傷しにくい構造を有していること。
④廃PCB等、PCB汚染物又はPCB処理物(以下、「PCB廃棄物」という)の収集又は運搬を行う場合には、必ず次の要件を満たした運搬容器に収納して収集し、又は運搬しなければならない。
ア 密閉できること。
イ PCBの漏洩を防止するために必要な措置が講じられていること。
ウ 収納しやすく、損傷しにくい構造を有していること。
エ 漏れを防止するために製作時や運搬前等、定期的に亀裂の有無を確認するための外観検査、水張試験や気密試験を行い、適切なものであること。
イの「PCBの漏洩を防止するために必要な措置が講じられていること」とは、密閉できることのほか、運搬容器(廃PCB 等を入れたドラム缶等を収納する漏れ防止型金属容器、漏れ防止型金属トレイ等)が、所要の空間容量を有し、PCB廃棄物の性状に応じた吸収剤が使用されていること等の措置が講じられていることをいう。また、雨水に当たらないようにシートをかけるなどの措置が必要となる。なお、積卸時には、運搬しようとするPCB廃棄物からPCBの漏れの有無を確認することも必要となる。
⑤収集又は運搬を行う者は、特別管理産業廃棄物の種類及び取り扱う際に注意すべき事項を文書に記載し、携帯しなければならない。ただし、運搬容器にこれらがすべて表示されている場合はこの限りではない。
⑥特別管理産業廃棄物の保管は、PCB廃棄物以外、積替えを行う場合を除き行ってはならないこと。
特別管理産業廃棄物の収集・運搬に伴う積替保管の基準
特別管理産業廃棄物の収集・運搬に伴う積替保管の基準は、廃棄物の収集・運搬に伴う積替保管の基準以外に次の要件を満たさなければならない。
①積替え保管の場所には、特別管理産業廃棄物が、その他の物と混するおそれのないように、仕切りを設けるなど必要な措置を講ずること。ただし、感染性産業廃棄物と感染性一般廃棄物とが混合する場合であって、当該感染性廃棄物以外の物が混入するおそれのない場合は、この限りではない。
②特別管理産業廃棄物である廃油、PCB汚染物またはPCB処理物にあっては、容器に入れ密封するなど、当該廃油またはPCBの揮発防止のために必要な措置及び当該廃油、PCB汚染物又は処理物が高温にさらされないために必要な措置を講ずること。
③PCB汚染物又はPCB処理物にあっては、当該PCB汚染物又はPCB処理物の腐食の防止のために必要な措置を講ずること。
④腐食するおそれのある特別管理産業廃棄物にあっては、容器に入れ密封するなど特別管理産業廃棄物腐敗防止のために必要な措置を講ずること。
特別管理産業廃棄物の中間処理基準
①特別管理産業廃棄物である燃焼しやすい廃油の処分又は再生は、焼却設備を用いて焼却する方法等によること。
②特別管理産業廃棄物である著しい腐食性を有する廃酸、廃アルカリの処分又は再生は、中和設備を用いて中和する方法等によること。
③感染性産業廃棄物の処分又は再生は、焼却設備を用いて焼却する方法等によること。
④PCB廃棄物(廃PCB等、PCB汚染物、PCB処理物)の処分又は再生は、反応設備、分離設備を用い分解又は除去する方法によること。
⑤廃石綿等の処分又は再生は、溶解設備を用いて溶解する方法によること。
⑥処分又は再生に当たり特別管理産業廃棄物を保管する場合は、産業廃棄物の中間処理基準の規定の例によること。
特別管理産業廃棄物の埋立処分基準
①水銀、カドミウム等の有害な重金属等を含む汚泥、指定下水汚泥、燃え殻、ばいじん、鉱さい等で埋立判定基準に適合しないものは、遮断型最終処分で行うこと。
②特別管理産業廃棄物である廃油の埋立処分を行う場合には、あらかじめ、焼却設備を用いて焼却すること。
③廃酸、廃アルカリ及び感染性産業廃遺物は、埋立処分を行ってはならないこと。
④廃石綿等の埋立処分を行う場合
ア 大気中に飛散しないように、あらかじめ、固形化、薬剤による安定その他これらに準ずる措置を講じた後、耐水性の材料で二重に梱包すること。
イ 許可を受けた最終処分場(安定型最終処分場を除く)のうち、一定の場所において、かつ、当該廃石綿等が分散しないように行うこと。
ウ 埋め立てる廃石綿等が埋立地の外に飛散、流出しないように、その表面を土砂で覆う等、必要な措置を講ずること。