43建設業:産業廃棄物と有価物
法は廃棄物を対象としているため、有価物を保管・運搬・加工する場合には適用されません。そこで、不適正に廃棄物を保管・運搬・加工(処理)しているにもかかわらず、業者は、「私が扱っている物は有価物である。したがってこの加工は廃棄物処理法に抵触するものではない。」などとして法規制を免れようとする場合があります。このような言い逃れや巧妙に有償譲渡を装うなどにより、本来廃棄物である物を有価物と称した不適正な処理を許さないために、国は「行政処分の指針」の中で「廃棄物の該当性の判断について」という1項を設けて解説しています。このように法では、まず「物は廃棄物か、有価物か」の判断が重要なポイントになります。
廃棄物の該当性の判断について
廃棄物とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要になったものをいいこれらに該当するか否かは、次に示すとおり、正当な商取引である条件、具体的には、①その物の性状、②排出の状況、③通常の取扱いの形態、④取引価値の有無、⑤占有者の意思等を総合的に勘案して判断すべきものである。
廃棄物該当性の判断基準
物の性状は、利用の用途に要求される品質を満足し、かつ飛散、流出、悪臭の発生等の生活環境保全上の支障が発生するおそれなないものであること。
②排出の状況は、排出が需要に沿った計画的なものであり、排出前や排出時に適切な保管や品質管理がなされていること。
③通常の取扱いの形態は、製品としての市場が形成されており、廃棄物として処理されている事例が通常は認められないこと。
④取引価値の有無は、占有者と取引の相手方との間で有償譲渡がなされており、なおかつ客観的に見て当該取引に経済的合理性があること。実際の判断にあたっては、名目を問わず処理料金に相当する金品の受領がないこと、当該譲渡価格が競合する製品や運送費等の諸経費を勘案しても双方にとって営利活動として合理的な額であること、当該有償譲渡の相手方以外の者に対する有償譲渡の実績があること等の確認が必要であること。
⑤占有者の意思は、客観的要素から社会通念上合理的に認定し得る占有者の意思として、適切に利用し若しくは他者に有償譲渡する意思が認められること、又は放置若しくは処分の意思が認められないこと。